「御中」はどう使うのが正しい?企業や取引先に送るビジネス年賀状のマナー
会社宛の年賀状はプライベートで送る場合とは異なり、様々な点に注意しなければなりません。
分かったつもりになって、実は間違ったマナーで送ってしまっていたら大変ですよね。
今回は、意外と知らない人の多い「ビジネス年賀状」の書き方マナーについて解説します。
「御中」の書き方や実際に使える文例集なども併せてご紹介しますので、ビジネスシーンで年賀状を送る機会のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
01. 取引先や企業には、ビジネス年賀状を出した方が良い?
昔は企業同士でやり取りすることが当たり前だった「ビジネス年賀状」ですが、最近はプライベート同様、新年のご挨拶はメールで済ませるという企業が増えてきています。
業務の簡略化や経費削減、ペーパーレスなど様々な理由が挙げられますが、もちろん今でも年賀状のやり取りをしている企業はたくさんあります。
それぞれの会社の方針なので、「メールの方が良い」「年賀状の方が良い」と一概には言い切れませんが、メール・年賀状にはそれぞれの良さがあるのではないでしょうか。
ビジネス年賀状を送るメリット
そもそも年賀状は、新年をお祝いするとともに、日頃お世話になっている方に感謝の気持ちを伝えるために送るもの。
企業間での年賀状のやり取りが減ってきているとは言え、会社の上司やお世話になっている取引先の方へ個人的に年賀状を送るという方も多いのではないでしょうか?
ビジネス年賀状は必ず送らなければならないものではありませんが、心のこもった年賀状は先方にも喜ばれるものです。
特に、先方が礼儀を重んじるような方ならば、メールよりも手間のかかる年賀状は好印象を持ってもらえる可能性があります。
また、メールでの挨拶文の場合、受信ボックスの中で次々に送られてくる他社のメールに紛れてしまいますが、手元に残る年賀状なら名刺代わりとしても最適です。
02. ビジネス年賀状を送る場合は、必ず元旦に届くように出しましょう
基本的に年賀状は、元旦当日に届くことが最低限のマナー。
特に仕事関係の相手に送る場合は、失礼のないように必ず元旦に届くように送る必要があります。
せっかくビジネス年賀状を出しても、元旦を過ぎてから届いてしまっては相手の方に対して失礼になってしまいます
元旦に届くためには「12月25日」までに投函する
元旦に年賀状が届くためには、遅くとも12月25日までにポストに投函する必要があります。
届け先が近隣県の場合は12月25日を過ぎても元旦に届くことがありますが、確実に届くわけではないため、ぎりぎりの投函は避けた方が無難です。
特にビジネス年賀状を送る場合は、先方に失礼のないよう日程に余裕を持ってポストに投函することを心掛けましょう。
03. ビジネス年賀状の正しい書き方マナー《6つ》
ここからは、ビジネス年賀状の正しい書き方マナーについて解説します。
「宛名面で注意すべきポイント」と「通信面で注意すべきポイント」をそれぞれご紹介しますので、普段うっかりやってしまっていないかチェックしてみてくださいね。
《1》縦書きする(宛名面・通信面共通)
最近はデザイン重視のおしゃれな年賀状も多く、英語表記などで横書きする場合も増えてきています。
通信面が横書きの場合は、宛名面も合わせて横書きすることがありますが、それはあくまでもプライベートで送る年賀状の場合に限ります。
ビジネス年賀状の場合は、宛名面・通信面ともに正式な書き方である縦書きで統一するのがマナーです。
また、宛名面に書く住所の番地は、漢数字(一・二・三など)を使うようにしましょう。
《2》企業名を省略するのは失礼(宛名面)
一般的に、株式会社を(株)、有限会社を(有)と表記することがありますよね。
しかし、ビジネス文書と同様、ビジネス年賀状を送る場合にも先方の企業名を省略することは厳禁です。
先方に失礼のないよう、企業名は省略せず、長くなったとしても必ず正式名称で記載します。
また、その際は「株式会社○○」か「○○株式会社」なのか、正式な位置を間違えないように注意しましょう。
《3》御中・敬称・役職などの使い方に注意する(宛名面)
企業に宛てた年賀状の場合、会社名の後に「御中」と付けることが一般的ですが、皆さんは「御中」の正しい使い方をご存知でしょうか?
敬称は重複しないことがマナー。つまり、「御中」や「様」などは一緒に書いてはいけないという決まりがあります。
ビジネス年賀状の場合は、送り先が「企業宛て」「部署宛て」「個人宛て」なのかによって敬称の付け方が異なるため、パターン別に正しい敬称の付け方を解説します。
企業に宛てる場合
特定の個人を指定せずに先方の会社名のみで送る場合には、会社名の後に「御中」と記載します。
部署に宛てる場合
日頃お世話になっている部署の方々に送りたいという場合には、会社名ではなく部署名の後に「御中」と記載しましょう。
(例)株式会社○○ ○○部 ○○課 御中
個人に宛てる場合
企業全体や部署単位ではなく、企業のさらに特定の個人へ送る場合には、企業名のところに「御中」は付けないので注意が必要です。
役職がない方へ送る場合は個人名の後に「様」を、役職がある方へ送る場合は、敬称を付けた名前の前に役職を書くという決まりがあります。
(例)株式会社○○ ○○部 部長○○様
※「○○部長様」とはならないように注意
《4》「賀正」「迎春」など短すぎる賀詞はNG(通信面)
年賀状には「賀正」「迎春」「謹賀新年」「恭賀新年」「明けましておめでとうございます」など、様々な賀詞が用いられています。
賀詞にはそれぞれ意味があり、送る相手やシーンに合わせて好みの賀詞を選ぶことができますが、「賀正」や「迎春」など短すぎる賀詞は簡略化された印象を与えてしまうため、ビジネス年賀状に使用するには好ましくありません。
他にも「寿」や「祝」など漢字1文字で表されている賀詞も、選ばない方が良いとされています。
ビジネス年賀状には、「謹賀新年」や「恭賀新年」など4文字漢字の賀詞、もしくは「謹んで新春のお慶びを申し上げます」など文章の賀詞を選ぶと良いでしょう。
また、賀詞にはそれ自体に「明けましておめでとうございます」という意味が含まれているため、手書きメッセージなどで賀詞を重複させないよう注意が必要です。
《5》句読点は使わない(通信面)
ビジネス年賀状に加える挨拶文や、手書きでメッセージを添える場合どちらにも、句読点を使ってはいけません。
「区切り」や「終わり」をイメージさせる句読点は、お祝い事には不適切とされているため、ビジネス年賀状を送る際は使用を避けるのが一般的です。
《6》忌み言葉は使わない(通信面)
句読点と同様の理由で、「忌み言葉」の使用も気を付けなければいけません。
お祝い事に相応しくない「切」「病」「悲」「苦」「失」などのネガティブなことを連想させる漢字は、ビジネス年賀状では使わないように注意しましょう。
04. ビジネス年賀状に使える文例集
ビジネス年賀状におすすめの賀詞 一例
- 謹賀新年(きんがしんねん)…【意味】謹んで新年をお祝いを申し上げます
- 恭賀新年(きょうがしんねん)…【意味】うやうやしく(丁寧に)新年をお祝い申し上げます
- 謹賀新春(きんがしんしゅん)…【意味】謹んで新しい年をお祝い申し上げます
- 敬頌新禧(けいしょうしんき)…【意味】うやうやしく(丁寧に)新年の喜びをお讃え申し上げます
- 明けましておめでとうございます
- 謹んで新春のお慶びを申し上げます
- 謹んで年頭の御祝詞を申し上げます
ビジネス年賀状におすすめの挨拶文 一例
【文例1】
本年もご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます
【文例2】
新年は○月○日○時より営業を開始させていただきます
本年も変わらぬご愛顧のほど 宜しくお願い申し上げます
【文例3】
本年も 皆様のご健康とご繁栄を心よりお祈り申し上げます
【文例4】
旧年中のご愛顧を感謝致しますとともに 皆様のご繁栄とご多幸を心からお祈り申し上げます
【文例5】
本年は昨年よりも一層 邁進していく所存でございます
本年も何卒ご指導 ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます
05. ビジネス年賀状におすすめのデザインは?
ビジネス年賀状は、ベーシックなデザインのものを選びましょう。
干支が入ったシンプルなものや、華美になりすぎないすっきりしたデザインがおすすめです。
また、プライベート用ではないので、基本的にビジネス年賀状は写真なしのデザインを選ぶのがマナーです。
まとめ
今回ご紹介したビジネス年賀状の書き方のポイントや、気を付けておきたいことなどを箇条書きでまとめました。
- 必ず元旦に届くように出す(遅くとも12月25日までにポストへ投函)
- 企業名は省略せず、正式名称で記載する
- 会社名のみで送る場合…会社名の後に「御中」
- 部署に送る場合…会社名ではなく部署名の後に「御中」
- 個人に送る場合…企業名のところに「御中」は付けず、個人名の後に「様」
- ビジネス年賀状には短い賀詞の使用はNG
- 句読点、忌み言葉は使わない
- ビジネス年賀状には写真を付けない
ビジネスシーンでは、一般常識やマナーが問われる場面がいくつもあります。
それはビジネス年賀状でも同じではないでしょうか。
これらのマナーをしっかり抑えて年賀状を送れると、社会人としての評価も上がりますね。